県立美術館

午後時間がとれたので、ジムに行こうかと思ったが、ふと思い立って県立美術館に行った。美術館の年間パスがあるので、こうして思い立ったときにふらっと寄れるのはいい。
平日午後ということもあり、しかも雨も降っているので、人はまばらだった。
企画展は「版!」と銘打って、収蔵品の中から版画の作品を重点的に展示していた。展示は主に江戸の浮世絵から明治、大正、昭和と日本の版画がどのように移っていったかその流れがわかるようになっていて、なかなかおもしろい企画だった。大正期や昭和初期の版画にはやはりそこはかとなく浮世絵の香りが漂うものもある。この時期、浮世絵が廃れていく課程において、版画家が職人芸から芸術として版画を変化させていったことが作品を通して透けて見えた。一方で近現代の版画となると、もはや心象としての表現になっていくのでだんだん興味が薄れてしまう。浅学な身なので、池田満寿夫山本容子などになるともうついて行けない。
展示の最後の方で昭和初期に組織された版画家の集団、榛(はん)の会の年賀状が展示されていてとても興味深く、コンピュータプリントばっかりの自分の年賀状を考えさせられた。

美術館を出て宍道湖岸を歩く。雨は相変わらずぽつぽつ降っていて人影がない。水鳥たちが我が物顔で羽を休めていた。
美術館の彫像がそこかしこにあるが、ウサギの像はとりわけ人気らしい。前から二番目のウサギをなでると、恋愛が成就するとかなんとかで、お賽銭だろうか五円玉が散らばっている。五円玉がないときは、シジミの殻でも効果があるのかしらん。五円玉と同じようにシジミの殻が散らばっていた。