SONYのラジオICF-800を買ってみた。

毎朝未明に起きて、ラジオを聞きながら仕事をするのだが、使っているラジカセが不満だ。夜にもかかわらずAMがノイズまみれでほとんど入らない。当地の放送局は、AMが山陰放送NHK第1、第2だが、特にNHKが弱くて、どこの遠距離放送を聞いているのかという具合だ。NHKの深夜番組はFM放送でもやっているので、FMにして聞くのだが、これもまたたいへん弱くて、ロッドアンテナに適当なケーブルを巻き付けてようやく聞ける感じだ。FM山陰は電波が強いはずだが、このラジカセ、なぜか78MHzあたりから下の周波数になると無音になってしまう。だから77.4MHzのFM山陰を聞くことができない。
まあ仕事部屋だからラジオはなくてもどうしても困るわけではないし、音楽ならパソコンからインターネットラジオでも流しておけばいいのだが、できの悪いラジカセと悪戦苦闘するうちに、またラジオが聞きたくなった。
少年の頃は深夜放送が真っ盛りで、中島みゆきオールナイトニッポンとかフェージングの中、眠い目をこすりながら熱心に聞いていた。そのうち、BCLなどにも手を染めて、最初はやっぱりモスクワ放送とか、朝鮮中央放送とかを聞くのだけれども我慢できず、いつの間にか小さい短波ラジオを手に入れて、ドイチェベレとか聞いたのだった。
またラジオを聞いてみよう。それには、もう少しまともなラジオがほしい。
そこで電気店に出かけてみた。ところが最近は、単なるラジオをおいている店が少ないようだ。ポケットラジオのような小型のものは品物があるのだが、ホームラジオというか据え置きで使うことを前提とした単機能ラジオはあまりおいていない。そのような用途はCDラジカセを使えということなのだろう。しかし僕は単機能ラジオがほしいのだ。
ラジオでもある程度大きいものがいい。スピーカーの小さい小型ラジオは、どうしても音がキンキンなるような感じがして、長時間聞くに耐えないことが多いし、AMアンテナも小さくなるから感度が悪くなってしまう。AM放送は内蔵のバーアンテナで聞く機種がほとんどだが、このバーアンテナが長いほど感度はよくなると予想される。
そしてラジオといえばやっぱりSONYかなということで、やや小さいが据え置きタイプのICF-800というポータブルラジオを買ってみた。同じく在庫にあったICF-M770Vという機種は、シンセサイザーチューナーでボタン一発で選局できるので良さそうだったが、1万円近くもする値段にちょっとためらってしまった。
家に帰って、さっそく開封する。ラジオ本体と電池とACケーブルとイヤホン、これだけだ。単機能ラジオだから特に説明書を読むこともなく、簡単に使うことができる。
電源を入れてみて驚いた。ダイヤルを回すと、ちょうど天気予報の時間でそれらしき放送局なので聞いてみると、なんと「水戸地方のお天気は…」と言い出す。受信したのは茨城放送1197kHzだったらしい。ちなみに時刻は午後3時前、まだ日中で、こちらがあわせようとしたのはNHK松江1296kHzだったのだが。で、もう少しダイヤルを回すと、大変力強くNHKが入感した。ほとんどノイズもなく、これなら全く問題ない。さすがスピーカーも10センチはあるので、たいへん聞きやすい音になっている。
FMにしてみると、今までノイズで苦しかったNHKが聞けるレベルで入ってくる。もちろんFM山陰は大変力強い。ただ、FMの受信感度はもちろんいいのだが、AMほどの感動はなかった。それほどAMはクリアに聞こえる。パソコンのある部屋で聞くと、パソコンからのノイズも気になることがあるが、それもあまり感じられないくらい電波を強く受信しているみたいだ。
これはなかなかいいのじゃないか。アナログ選局だけに、放送局の選択は微妙だ。だが、何でもかんでもデジタルな最近の時代に逆行していて、かえって味がある。6千円前後という価格を単機能ラジオに普通の人が求めるか、ということはあるが、ぼくにとっては大満足のラジオだった。