二つの神社のお祭りに行く

各地で夏祭りが行われている。
昨日は子供たちをつれて地元神社の夏越の祭りに行った。そこはうちも氏子の小さな神社だ。神社の入り口に去年までは子供会の出店もあったが、今年は見あたらない。大きな藁でくくってある鳥居をくぐると、高さ20mはある階段をえっちらおっちら歩いて上がる。その先に本殿がある。本殿の前には、いろいろな人が書いたのだろう、絵手紙風の絵が貼り付けてあるあんどんが並び、右手のお祓い所の奥から太鼓と笛だけのお囃子が聞こえてくる。社務所に人形という人の形をした紙に名前を書いたものを納めて、お祓いをしてもらう。そのときにお囃子の演奏がある。お祭りといってもただそれだけ。訪れる人もまばらでひっそりとした小さなお祭り。
そして今日は少し離れた場所にある八重垣神社に行った。山陰の観光スポットとしてはわりと有名どころではある。そこの中に山神神社という、男根をお祀りしてある神社があるのだが、そのお祭りだ。本殿の横にはステージがこしらえてあって、カラオケ大会の真っ最中。人出も多くて混雑していた。地元の人たちは赤いはっぴを着ているし、浴衣姿の若い人も多かった。出店も多く、かき氷に、たこ焼き、金魚すくいに当てくじと一通り揃っている。
長男が金魚すくいがしたいというので、店番をしていたおばあちゃんに300円を渡してポイをもらう。「この金だらいに入れな」といって小さなアルマイトのたらいをおばあちゃんが渡してくれたが、すでに一匹入っている。「おまけだよ」きっと年端のいかない子供には掬えないのだろうと思ったのだろう。優しげなおばあちゃんは、うらやましそうに見ていた次男にもポイを渡してくれた。
最初やらせてみたが、自分のご飯だってうまくスプーンで掬えもしないのに、うまくいくはずもない。ポイが斜めすぎるのだ。そっと、後ろから手を添えて、ポイを水平にして金魚の下に入れ、静かに持ち上げる。「やった、入った」長男が自慢げに声を上げた。もう一匹、楽々とすくい上げてやる。あわてたおばあちゃんは「5匹までだよ」と手を広げた。その様子がおかしかったので、僕は長男の手伝いはやめにした。その後すぐにポイが破れて終了したが、それでも金魚が3匹、しかも自分で掬うことができたので、満足なようだった。
子供にはこちらの方が楽しかったかもしれない。けれども、なんだか当ての外れた僕は写真を一枚も撮らずに帰ってきてしまった。
周囲の杉林から聞こえてくるヒグラシのうるさいくらいの鳴き声と、笛と太鼓が奏でるお囃子がハーモニーとなって薄暗い境内を包んでいた、地元の小さなお祭りが僕には印象的だった。