城山へ猫を撮りに

明け方まで雨が降っていたのが、太陽が上がると晴れてきた。バイクでお客さん回りをして、そのまま帰るのももったいないので、何あてがあるわけでなかったが城山へ向かう。
城山南側の三の丸から橋を渡って、雨に濡れた石段を登るが誰にも会わない。ただそうなると、古い時代そのままのたたずまいがよりいっそう現れてくる気がする。この城の裏手にある石段はとても古く、大手門の階段と違って整備もされていない。江戸時代から、あまたの人がこの石を踏みしめていたかと思うと感慨深い。階段を上りきると興雲閣の白い洋風の館があり、その隣には松江神社。大正のモダン建築と明治に建てられた古風な神社が隣り合わせにあるのも考えてみればなかなか興味深い。
とはいえ、普段見慣れた景色だけにおもしろいものがあるわけでもない。そういえば大手門から上がる階段の脇の茂みに猫がたくさんいることを思い出して、そちらに行ってみた。さすがに正面から階段を上り天守閣へと向かう観光客はちらほらと見られ何となく安堵する。
二の丸へ向かう階段の脇にある茂みが猫のすみかだ。
やはりノラだけあって警戒心が強く、なかなか近づいて撮らせてくれない。猫の写真がうまい人がいるが、ああいう人はどうやって撮っているんだろうと思う。それでも虎の子は多少は興味があるようで、つかず離れずの微妙な距離を取ってこちらの様子をうかがっていた。