ビール

僕は酒が弱い。ビールをコップに(ジョッキではない)1杯ほど飲めば、もうすでにできあがってしまう。一生懸命飲んだって、日本酒が1合、水割りが1杯、焼酎は勘弁してくださいだ。
酒がうまいとかまずいとかそんなこともわからない。強いて言えば日本酒なら、しかもほんのちょっとなら、まあ飲めるくらいだ。晩酌はしない。酒席はできたら遠慮したい。そんな人間である。
それでもこの年まで生きてくると、酒席につきあわざるを得ないことも多々ある。最近は時代なのか、無理してすすめられることはめったにない。だから、ウーロン茶でやり過ごすこともできるのだが、やはり酒の席で酒を飲まなければ苦痛に感じることもたくさんあるのだ。それは酒を飲まない人ならよくわかるだろう。

いやそんなことを書いているんじゃない。昨日はなぜかビールを飲めたということを記録に残しておきたかった。
昨日は炎天下でイベントに参加し、しかも自動車で移動ではなかったので、参加者が買ってきたアサヒのスーパードライを勧められるまま飲んだ。いつもならこの350mlの半分がようやっと飲めてしかも心臓がバクつく量なので、捨て時をはかっていたがなかなかそんな場所もない。えいままよ、仕方なく一本全部飲んでしまった。
ところが、なんと大丈夫だったのである。腹はたぷっとしたけど、いつものように心臓がバクバクいうこともない。眠たくなってしまうこともない。人生で初めてといってもいい、ごく自然にビールが飲めた。
続けて2本3本と空けようとは思わなかったが、不思議な達成感を感じつつ、イベントに参加し、1時間後にはすっかりアルコール気分も抜けていた。この暑さであっという間に汗として吹き出てしまったのかもしれない。
いやひょっとしたら、いつの間にか酒が飲めるようになっているのかもしれない。それならそれで、困ったことでもない。酒に飲まれるのは悪いことでも、酒が飲めると言うことは、悪いことではない。うつろな期待を抱きながら、久しぶりにビールを買ってみた。さて。